「連年贈与」の注意点について
質問:私は、65歳の男性です。
私が元気なうちにいろいろ相続税の対策をしようと思います。
その一つとして、孫にお金を渡していこうと思います。
お金を多く渡しすぎると贈与税がかかりますので、毎年50万円ずつ、孫に渡そうと思います。
年間110万円までの贈与は、贈与税がかからないと聞いていますが、この場合でも大丈夫でしょうか?
連年贈与とは
連年贈与とは「毎年贈与をおこなうこと」です。
「毎年、少しずつ贈与すれば贈与税はかからない」というのは、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。
贈与の場合、1年間に110万円までであれば、無税で贈与することができます。
これを基礎控除といいます。例えば、毎年110万円ずつ10年間にわたって贈与したとすると、1,10万円×10年=1,100万円贈与したことと同じになります。一括で贈与するのではなく110万円以下に分けて毎年贈与すると節税することが可能です。
しかし、あらかじめ「1,100万円を10年間にわたって110万円ずつ贈与する」という意思があれば、「定期贈与」とみなされ、1,100万円の部分に贈与税がかかってしまうことがあります。
定期贈与とは
定期贈与とは「毎年一定の金額を贈与することが決まっている贈与」のことです。
例えば、1,000万円を10年間にわたって毎年贈与するという取り決めをおこない、生前贈与をおこなった場合は定期贈与となります。
定期贈与の場合は、毎年の贈与金額が110万円以下であっても、定期贈与の取り決めをおこなった年に「定期金に関する権利」の贈与を受けたとして、1,000万円に対して贈与税が課税されます。
定期贈与とみなされないためには
110万円の基礎控除を活用して無税で贈与をしたい場合は、次のような工夫をする必要があります。
①銀行振込をして贈与の証拠を残す
これは生前贈与を行う場合に必ず注意すべきことです。「いつ」「いくら」贈与したのかを記録として残すためには、現金の授受をせず、受贈者自身が口座を作り、銀行振り込みをすることで通帳に記録を残します。
②毎年、贈与するごとに贈与契約書を作成する
生前贈与をする場合、贈与契約書を作成するということは、贈与の証拠を残す一つの方法です。
「いつ」「いくら」贈与したのかを証明することにもなりますし、契約書を交わすということは贈与者と受贈者が合意したことの証明にもなります。
また、毎年作成した契約書を、その都度公証役場へ持っていって確定日付をもらっておけば、さらに強い証拠となります。
ご自身の判断で定期贈与を避けたつもりでも、税務調査が行われたときに思わぬ指摘をされる可能性があります。
まとまった金額を複数年に分けて生前贈与しようとお考えの場合は、相続税・贈与税専門の税理士に相談することをおすすめします。